ベトナム社会主義共和国(ベトナムしゃかいしゅぎきょうわこく、ベトナム語: Cộng Hoà Xã Hội Chủ Nghĩa Việt Nam(コンホアサホイチュギアヴィエットナム) / 共和社会主義越南)
通称 ベトナム(ベトナム語: Việt Nam(ヴィエットナム) / 越南(えつなん))は、東南アジアのインドシナ半島東部に位置する社会主義共和制国家。首都はハノイ。ASEAN加盟国、通貨はドン、人口9,250万人(2014年末)。
ベトナム社会主義共和国の国旗と国章
国土は南北に細長く、北は中華人民共和国、西はラオス、南西はカンボジアと国境を接する。東は南シナ海に面し、フィリピンと相対する。
ベトナムの国土は南北1,650km、東西600kmに広がる。インドシナ半島の太平洋岸に平行して南北に伸びるチュオンソン山脈(アンナン山脈)の東側に国土の大半が属するため、東西の幅は最も狭い部分ではわずか50kmしかない。細長いS字に似た国土の形状を、ベトナムでは米かごを吊るす天秤棒に喩えている。天秤棒の両端には大規模なデルタが広がり、人口の7割が集中する。北のデルタは、紅河(ソンコイ川)によるもので、首都ハノイのほか港湾都市ハイフォンが位置する。南のデルタはメコン川によるもので、最大の都市ホーチミンを擁する。
沿岸の総延長距離は3,260km、北部国境(中国国境)の長さは1,150km、国境の総延長距離は、6,127kmである。
沿岸には北部・トンキン湾を除き、島嶼がほとんど存在しない。本土から離れた領土として、ホーチミン市から約600km東、南シナ海に浮かぶ、ベトナム語名「チュオンサ」(スプラトリー諸島、南沙諸島)と、ダナンの約400km東、南シナ海に浮かぶ、ベトナム語名「ホアンサ」(パラセル諸島、西沙諸島)の領有権を主張している。チュオンサ群島は一部を実効支配し、ホアンサ群島は全体が中華人民共和国の実効支配下にある。ベトナム最大の島は、最西端の領土となる、シャム湾に浮かぶフークォック島である。
主要な河川は紅河(支流であるカウ川、ロー川、ダーツ川)、ダンホアに河口を持つカー川、中部のバー川、南部のドンナイ川、メコンデルタのメコン川である。天然の湖沼はデルタに残る三日月湖がほとんどである。最高峰は北部国境に近いファンシーパン山 (3,143m)。アンナン山脈中の最高峰は、中部のフエやダナンに近いアトゥアト山 (2,500m) である。
ベトナムの配置
5月から11月にかけて、インド洋を渡ってやってくるモンスーン(季節風)が東南アジア大陸に大量の雨を降り注ぎ、山の土が崩れ、川に流れ込み、河川のいたるところで堆積し、河口では大きなデルタを形成する。このデルタは比較的低平なので水田耕作などに適し、穀倉地帯となっていることが多い。北部の紅河デルタや南部のメコンデルタが、重要な穀倉地帯になっている。コメ生産は北部の紅河デルタでは二期作、南部のメコンデルタでは三期作である。
世界遺産に登録されたハロン湾。
ベトナム北部には、紅河、マー川(タインホア省)やラム川(ゲアン・ハティン省)の下流域などに大きな平野が広がっている。紅河平原の面積は約15,000平方キロメートルで一面が水田であり、人口は6,500,000人(1931年時点)を擁し、そのほとんどは農民である。
トゥアティエン=フエ省の砂浜。
ベトナム全土は北回帰線よりも南に位置し、赤道近くまで伸びる(本土の最南端は北緯8度33分)。このため南西モンスーンの影響を強く受ける。7月から11月まで台風の影響を受け、特に国土の中央部が被害を受けやすい。
北部は温帯性の気候であり、4月から10月までが雨期となる。首都ハノイの平均気温は1月が16℃、7月が29℃である。年平均降水量は1,704mm。チュオンソン山脈の影響により、山岳地帯では降水量が4,000mmを超える場所もある。ケッペンの気候区分では、温暖冬季少雨気候 (Cw) に分類されている。
南部は熱帯性気候下にある(ケッペンによる気候区分はサバナ気候〈Aw〉)。[注 11]。平均気温は1月が18℃、7月が33℃だが、平均降水量は1,000mmと少ない。
北部には紅河、黒河(ダー川)、南部には九龍江(メコン川)が広がる。
紅河デルタにあるフーリーでは、1980年から1995年の月別平均気温は、1月16℃、2月15℃、3月19℃、4月22℃、5月26℃、6月27℃、7月28℃、8月27.5℃、9月26℃、10月24℃、11月21℃、12月19℃である。
ベトナムと外交関係を有する諸国の一覧図。