ベトナム経済は、1990年から2010年にかけ同国の経済政策が行われたことにより、年間平均経済成長率が7%を超えるなど急激な経済成長を遂げています。
ハノイはベトナムの政治・文化の中心地
日本の経済で例えるならば、1960年代後半の高度成長期中ごろにあたります。かつてベトナムは経済収支のバランスを図るため外国からの投資資金に依存する傾向にあり、経常的な赤字体質にありました。しかし1990年からすすめられた経済政策が功を成し、2012年にはその赤字体質を回復させました。それ以来、経済収支も見事黒字に転じています。
1980年後半に開始されたドイモイ政策の成果が上がりはじめた結果、1995年~1996年には9%代の経済成長率を記録。その後アジア通貨・経済危機による影響で一時的に経済成長が鈍ったものの、海外からの直接投資が増加したことで2000年から2010年の経済成長率は7.26%という高い数値を記録しました。その結果2010年以降、ベトナム国はまだ低位ではありますが中所得国の仲間入りを果たすことになりました。
経済指標(2014年)
GDP 経済成長率 5.98%
物価上昇率 4.09%
失業率 2.08% (都市部3.43% / 農村部1.47%)
外国投資 202億ドル
貿易収支 21.4億ドル
輸出 1,501.9億ドル(13.7%増/前年比)
輸入 1,480.5億ドル(12.1%増/前年比)
2012年の一人当たりのGDP(国内総生産)は1,528ドル。近隣のASEAN諸国と比べるとGDPはまだまだ伸びしろがあります。例をあげるなら、特に2005年から2012年にかけてのGDPの成長率には目を見張るものがあります。2005年には57,633万ドルだった国内総GDPが7年後の2012年には155,820万ドルと2.7倍も増加しており急激な成長率を記録しています。
その後もGDPの成長率は下がることがはなく、安定した成長率を維持しています。
ホーチミン市のサイゴン川と中心市街地
現在(2016年5月時点)確認されているベトナムの平均年収は約30万円。日本の平均年収は約410万円なので、およそ日本の14分の1ほどになります。我々日本人が主に仕事で関わるベトナム人は、都心部の給与価格帯での雇用、特殊技術枠での雇用などベトナム人の中でも高給取りの方が多いので、平均的に2~3倍の給与をもらっているケースもあります。以下で各職業ごとの平均給与を見ていきましょう。
職種別
建設管理・エンジニア 約750USD~
金融・保険など金融業務職(ベトナムの高給職) 約733USD~
リサーチ・調査 約600USD~
サービス産業 約533USD~
広告/PR 約522USD~
クリエイティブデザイナー 約518USD~
ITエンジニア 約507USD~
男女別
・スタッフ職(店舗スタッフなど)
男性…月額415USD
女性…月額383USD
・管理職
男性…947ドル
女性…782ドル(男性より21%高い)
近年(2016年時点)ではベトナムの中で、金融業界が最も平均給与が高い職業となっております。平均所得第2位となるのがITエンジニア。2009年以降から需要と給与は増加の一途をたどっている傾向にあります。今後経済発展が進むにつれ、IT関連の人材の需要は更に拡大していくでしょう。それに対してIT職ができるベトナム人はまだまだ少ないため、彼らの教育から力を入れている外資の企業も少なくはありません。
毎年高い成長率を保っていることから、投資や進出の対象としてベトナムを検討している企業や個人も少なくありません。
また、賃金が上がりつつある中国に次ぐ生産・オフショア拠点としても注目されており、ベトナム国では2011年に開かれた共産党大会にて「2020年までに近代工業国家として成長する」という目標を掲げられたため、これからも製造拠点が増えていくことが見込まれています。ベトナム国は工業国家としての成長はもちろん、市場経済化、国際経済への統合を一層推し進めています。(2007年にはWTOに正式加盟)
近隣のASEAN諸国にくらべ、それぞれの経済指標はまだまだですが、成長率の面で見るとインドネシアに次ぐ成長と大変良好な状態であるといえます。2005年から2012年の間、そもそもの規模は違うものの1.3倍の成長しか見込めなかった日本に比べ、2.7倍も成長しており、その成長率には目覚ましいものがあります。
特にベトナムの2大都市ハノイとホーチミンは、毎年のようにその街並みが変化しており、数年ぶりに訪れる方はその変貌ぶりに驚くことでしょう。物価や給料も徐々に上がってきたことにより国民の購買意欲も必然的にあがっており、経済全体の市場規模が拡大しつつあります。
しかしながらあえてデメリットを言うとすれば、一部地域によってはまだまだその成長の効果がみられないところも多く、ベトナム国全体としてどこまで経済状況を成長させ、全体の底上げできるのかというところで、まだまだ目を離せない国だといえます。メリットが非常に多く見える国である反面、それと同時にデメリットもまた必然的に存在しています。
もしもあなたがベトナムに進出を検討されているのであればしっかりとその国の特性、状況、背景、展望を把握し見通しておく必要があります。
ハノイ都市鉄道:現在工事中の都市鉄道区間